1902年先までの眠り

今日はサークルでゲームマスターしてきました!
システムは僕の作成中のオリジナルシステムで中世〜近世ヨーロッパ風ファンタジー魔女狩りとか異文化の衝突をテーマにしたモノです。
 
帝國の庇護を受け拡がりゆく一神教と、それに駆逐されて行く、民衆の中に生きる夢使いたち。驕りは腐敗を呼び、悲しき復讐は純真なる者をも魔道外道*1に落とす。
その中で、違う立場*2に立ちながら希望を求める者たち……彼等は苦難と絶望に立ち向かうため、共に手を結ぶ。自分の中に相反する信念や感情や絆に翻弄されながら……そして、その先にあるモノを見るだろう。分かりあえる未来、断絶と絶望という名の現実、全てを飲み込もうとする闇……そのどれを見い出すかはわからないが。

システムとコンセプト

こんなカンジのダークな世界でPC・NPCの絡みをやりながら、分かりあう(あるいは、対立する)キッカケを探していく、そんなゲームです。
たとえ独立独歩で歩もうとしても、互いに持つ力、持つ知識には偏りがあり、独力では困難にうち勝つことはできない。ゆえに(例え一時的でも)力をあわせることになります。
また、キャラクターの信念・感情・絆によって、行動が左右される*3システムがあるために、ままならなさを味わいながらも、自分達の望む妥協点へ向かう為に立ち回りやロールプレイを努力する事になることでしょう。

プレイリポート

今回のPCは3人。
“退魔士”バッシュ=ゼルフォイ(男22歳)
若き優秀な退魔士。封魔の紐を操る。度重なる魔女狩りの中で、夢使いに対する罪悪感を覚えている。
夢使い”マデリーゼ(女19歳)
夢使いの秘術によって外見年齢が14歳の少女。いつか分かりあえる時が来るという信念を抱いて放浪する。
夢と眠りの魔法と、貪欲な羽虫の群の魔獣を操る。
“帝國騎士”クランチ(男30歳)
登用試験に合格し、騎士となって、今回の舞台の町に赴任した。帝国に忠誠を誓う。
槍による突撃と鎧による防御の名手。意外と博識でもある。
 
話の始まりはバッシュが町に訪れたことであった。この町で財産没収と名誉目当ての不当な魔女狩り魔女裁判が数多く行われていると聞き、その調査に来たバッシュに、誤魔化すように豪華な宴で迎えいれる町の司祭長。
そこで司祭長はバッシュとクランチに町外れの森に住む夢使いを捕えて公開処刑し、今後この町に邪教になびく者が出なくなるようにすべきだと、提案した。
そこで焦ったのはクランチ。彼は以前から、森に住む女性クレキと茶飲み友達であり、彼女にこの町にはない安らぎを感じている。
バッシュを信頼できると判断したクランチは真実を確かめるために彼を連れて森へと向かう。その途中で二人は一人の少女に出会う。
彼女の名はマデリーゼ。旅の途中でいざこざに巻き込まれ、川に流されていたところを夢狩りクレキとその友である雷妖精ユージンに助けられた。マデリーゼは同士であるクレキの優しさとこの森の家の暖かさに惹かれている。
二人の正体と目的地を知ったマデリーゼはクレキを守るため二人を見張る。
しかし、まるで疑うことを知らないようなクレキは二人を無防備に迎えいれて歓待する。
会話の途中、バッシュは退魔士の技でクレキが夢使いであることを見破る。しかし、バッシュはクレキが善人であると判断して、この地を去るように助言する。
それに対してこいつらは信用できないと主張するマデリーゼ。だが、クレキはバッシュたちのことは信頼できるけど、この地を離れるわけには行かないと言う。
なぜならクレキはこの地に眠る魔獣が町から流れるくる人の邪念・怨念*4によって狂わぬように、この森を守っているからだ。
 
きっと話せばわかってもらえる、そう無邪気に話すクレキを守るため、三人(+雷妖精一匹)は共に力をあわせるように誓った。
しかし事態は悪い方向へ向かう。
ついに司祭長は配下を連れて森へ魔女狩りに向かう。
止めようと説得するクランチと、力ずくで妨害するマデリーゼとバッシュ。だが、司祭長の射たクロスボウの矢がクレキの胸へと一直線に飛ぶ。
次の瞬間、撃ち抜かれたのは、クレキを守ろうと矢の前に身を晒した雷妖精のユージンだった。聖別された矢は速やかに、クレキの腕の中に倒れたユージンの命を奪い去った。
クレキの悲鳴が森に響きわたる。
その叫びが消えるのと同時に黒き魔獣が現れ、クレキとユージンを抱え、森の中へと消えていく。
 
混乱が過ぎた後、マデリーゼはクレキを探して町や森を走り回り、クランチは傷付いた司祭長たちを連れて町へ、そして、バッシュは森でクレキを待ち続けた。
夜半過ぎ、バッシュの前にクレキが現れる。しかし、クレキはそのまま町に向かおうとする。止めようとするバッシュにクレキが言う。
「私はこれから町に行きます、今まで奪われた数多くの命の復讐のために。もう、私は引き返せないのです……魔獣の魂を喰らい、魔道に堕ち……“許されざるもの”となったのだから」
 
町に向かい、身に宿る魔獣の力をふるい、逃げ惑う衛兵たちの魂を喰らい尽すクレキ。その前に立ち塞がったのはクランチ。
もう止めてくれないか、以前のように戻れないのかと訴えかけるクランチ。しかし、クレキは悲しげに首を振る。そしてクランチに雷弾を撃つ。
攻撃をくらっても、クランチはクレキの顔を見た途端、槍を振るう気力を失ってしまう。しかし、槍に刻まれた帝國*5の刻印を見たとき、彼は自分の使命を思い出した。帝國の人々を守るため、我は槍ならんと、盾ならんと。
ちょうどその時、バッシュとマデリーゼがたどり着き、最後の戦いが始まった。

終幕、そして

戦いは思いの外すぐに終った。
クランチが攻撃を受け止め、バッシュが紐で動きを封じている隙に、マデリーゼが接近して、全ての力を投じて眠りの魔法をかけた。
そしてクレキは永き眠り*6へと墜ちた。
 
その後、マデリーゼは町外れの森に住むようになった。クレキの想いを継いで。もはや、無闇な魔女狩りもなくなったので、町からの悪夢も減ることだろう。
その森の家にはバッシュが暇を見付けては訪れているらしいので、寂しいことはないだろう。
……クランチの家には使われない部屋が1つできた。家人もその部屋にいれることはなく、掃除もクランチ自ら行っていた。
そこには一人の女性が眠っている。彼女はクランチの、いや、この町のだれもが生きている間には目を醒ますことはないだろう。しかし、それだけの年月が過ぎてしまえば、このような悲しみがある時代は去っているのだろうか。
そして、クランチは今日も日課の掃除を終え、一瞥した後に部屋を出た。
「また来るよ」
 
……てなカンジで長々と誰も望んでいない同人TRPGのレポートを終ります。
正直、自己満足で、スマンかった。
実際のプレイはカードを使った絆判定でPCが予想外の動きをして、面白かったですよ。

*1:人はそれを「許されざる者」と呼ぶ

*2:一神教の退魔師、放浪の夢使い、帝國騎士、仁義に生きるアウトロー、教会に潜りこんだ結社の魔術師、斬魔剣士の少女、運命に翻弄される少年など

*3:トランプを引いて、その信念のスートにあうかどうか、絵札かどうかで、信念に従うか、抗うか、激情するかが決まる

*4:夢使いたちはこれを「悪夢」と呼ぶ

*5:PL「しまった、クレキへの絆判定に成功してしまって、攻撃ができない」GM「じゃあ帝国の絆で抵抗判定してみなよ」PL「うぉぉ!絵札だ!大成功だ!」

*6:PL「あの、効果時間10の{達成値/5}乗ラウンドって……」GM「仕様です」PL「達成値50だから……1902年!?」