『悪と往生』山折哲雄 その0

「善人なをもちて往生をとぐ、いはんや悪人をや」

この本は親鸞とその言葉を弟子の唯円聞き書きした『歎異抄』について書かれた本である。
最初、僕は「悪」というテーマに惹かれてこの本を購入した。
物語を描くにあたって「悪」というものは、大きな問題となる……これに関する私見は、またの機会に書こうと思うが、僕にとって興味の対象であるのは間違いない。
仏教的な「悪」とその救済について、この本に於いて論が展開されているモノだと期待して、僕は読み進めていった……が、しかし、その期待は見事に裏切られてしまった。

この本で「悪」を主題として展開しているのは全12章中、冒頭の2章だけである。
他は正統と異端、師と弟子、そして往生について書かれている。つまり、主題は「悪」ではなく、親鸞と『歎異抄』だったわけだ。
しかし、僕に失望はなかった。
その肩透かしを差し引いても、『悪と往生』はとても読みごたえのある本だった訳で。そして、僕は喜喜としてこの本を読み進めている。

しかし、この本は読みごたえがありすぎる。ちゃんと理解しようと思うと時間がかかってしまいそうだ。
そこで、見ている人には迷惑かも知れないが、ここで個人的な自主ゼミの様なモノを始めさせてもらおうと思う。
といっても、読んだそばから、自分が理解し、感じたモノをラフなカンジで出していくだけなんだけど。
まあ、興味があったら付き合って、見てやってください。