読書

『鬱金の暁闇 破妖の剣6』前田珠子

『破妖の剣』は、人間とそれよりも遥かに力ある「魔性」の住む世界を舞台として、魔性を討つ浮城の破妖剣士である半人半間の少女ラエスリールと、その護り手たる妖主(魔性の中で最高クラスの存在)闇主の二人とその仲間たちが、様々な魔性(力はあるものの…

『悪と往生』山折哲雄 その1

「唯除五逆誹謗正法(ただ、五逆罪…父殺し、母殺し、聖者殺し、仏の体を傷付け、教団を破壊する…を犯した者と仏法をそしる者は、除く)」 ……『大無量寿経』より 『歎異抄』は親鸞の弟子、唯円がその師の言葉を書きとめ編集したモノである。 この本には有名な「…

『悪と往生』山折哲雄 その0

「善人なをもちて往生をとぐ、いはんや悪人をや」この本は親鸞とその言葉を弟子の唯円が聞き書きした『歎異抄』について書かれた本である。 最初、僕は「悪」というテーマに惹かれてこの本を購入した。 物語を描くにあたって「悪」というものは、大きな問題…

『毒草を食べてみた』植松黎

「タイの法律によれば、クラトンを売買以外の目的で所持すると二カ月の懲役である。しかし、初犯ならもっと軽く、研究用ならさらに軽いだろうと、勝手に考えた」 「猛毒と無毒のトリカブトをどう見分けるかといえば、熱心な研究者は根をかじってみる」 ……誰…

『駈込み訴え』太宰治

「いいえ、私は天の父にわかっていただかなくても、また世間の者に知られなくても、ただ、あなたお一人さえ、おわかりになっていて下さったら、それでもう、よいのです」太宰治は青臭い。 高校生や大学に入ったばかりの人には似合っているが、まあ、何と言う…